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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第25章 第二部・第六話【春咲く花】 再会

 愛する男のためには無駄死にではないと思うことが、小紅を辛うじて死の恐怖から救っていた。
―私、このまま死ぬんだわ。
 いよいよ首に込められた力が強くなった瞬間、小紅は覚悟を決めた。と、いきなり表の腰高障子が荒々しく開いた。
「手前、何をしてやがる」

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