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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第25章 第二部・第六話【春咲く花】 再会

「お前の方こそ、痛むんじゃないのか?」
 栄佐がまるで自分が痛みを感じるかのように不安げな声で囁いた。
 小紅の首には今やくっきりと紅い手形がついている。その痛々しい跡を震える手で栄佐は撫でた。いきなりその傷痕の残っているうなじに、栄佐が唇を押し当てた。
 小紅は眼を閉じた。
―栄佐さん。

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