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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第25章 第二部・第六話【春咲く花】 再会

 彼の唇はとても熱い。全身で彼を感じている。彼の唇の熱さが伝わったかのように、身体のすべてが熱かった。今まで口づけられたどんなときよりもずっと、胸が振り絞られるほど心が波立った。
 うなじに押し当てられていた唇が離れる寸前、栄佐は囁いた。
「俺の心配をしてくれるのはありがたいが、まずは自分のことを真っ先に考えろ。自分をもっと大切にするんだ。お前にもしものことがあったら、俺は、俺は」

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