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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第26章 第二部・第六話【春咲く花】 略奪

 既に葦簀もしまい、戸も立てて準備は万端だ。小紅は店の前に出て、夜空を見上げた。今夜は明るい月夜で、夜道も足許は明るい。真っ暗闇というわけではないし、こんな満月が美しい夜に無粋な刺客が出ることもないだろう。
 元々、あまり物事を深刻に考えない質の小紅は一人で帰ることにした。

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