テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第26章 第二部・第六話【春咲く花】 略奪

「瑞容院さまに?」
 栄佐は庭を足早に歩きながら応える。
「そうだ」
 栄佐はつと歩みを止め、源五を鋭い眼で見た。
「そなたに一つ訊きたいことがある」
 源五はハッとしたように栄佐を見つめ返した。
「はっ、何なりと」
 栄佐はこの時、やはり小紅を襲ったのは源五の差し向けた者ではないと確信した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ