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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち

 武平を数人かがりで布団に寝かせ、後は医者に任せた後、一同は廊下に出た。
「一体、どうしたの、何があったというの!」
 小紅が矢継ぎ早に訊ねると、難波屋に最も長く仕えているという一番番頭がうなだれて言った。
「旦那さまはいつものように深川で寄り合いにお出になったんですが、その帰り際に知らせを受けられ、急遽、賭場にお寄りになったんでございます」

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