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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち

 それが、馬鹿な準平の方がカッとなって先に匕首を振りかざして斬りかかっていったのだ。当然ながら、そこで相手も刀を抜いたが、時既に遅し、準平は力貸せに匕首を振り回し、その切っ先が相手の武士の二の腕をかすった。
 傷自体はたいしたことはない、擦り傷である。しかし、町人が直参を手に掛けたという罪は重く、下手をすれば死罪になる。

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