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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち

 一部始終を聞いた武平は一言、
―愚か者めが。
 と吐き捨てるように言い、すぐに駕籠を飛ばして賭場に向かった。
 相手の若い武士は最初は頑なに話に応じようとしなかったが、武平が情理を尽くして話している中に言った。
―そこの馬鹿には情けをかけてやる価値もないが、息子を思う親父どのの心に免じて今度ばかりは許してやる。

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