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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第28章 第二部・第六話【春咲く花】 春咲く花

「おお、かたじけない」
 笈馬は湯飲みを受け取り、急いで茶を飲んだ。
「お祖父さま、一つお訊ねしてもよろしいでしょうか?」
 小紅が控えめに言うのに、笈馬は鷹揚に頷いた。
「何なりと」
「栄佐さん、いえ、栄之進さまが幼い頃、ここによく出入りしていたとお聞きしていますが」

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