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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第28章 第二部・第六話【春咲く花】 春咲く花

「今日はお願いの儀があって、まかり越しました」
「まあ、この年寄りに殿が今更、何をお願いなされるというのでしょう」
 さらりと年寄りと言うが、どう見ても、三十そこそこほどにしか見えない若々しく美しい母であった。栄佐と並んでも母子というよりは、姉弟といった方がふわさしいに違いない。

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