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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち

「叔父さまが―、叔父さまが」
 小紅が泣き叫ぶのに番頭はすべてを悟ったらしく、急いで医者を呼びにまた飛び出していく。
「叔父さま、私を一人にしないで。ずっと側にいて守ってくれるって約束したじゃない」
 叔父さまがいなくなって、私はこれからどうやって生きてゆけば良いの?
 叔父さまのいないこの世はあまりにも広すぎて、淋しすぎる。
 小紅は武平の亡骸に取り縋って号泣した。

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