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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち

 その中には公私ともに長年の付き合いの友人、知人がおり、生前の武平の付き合いの広さを物語っていた。大店の旦那衆ばかり集まった連歌の会は教養人のたしなみとしての同好会のようなものであった。
 武平は数年前に乞われて入会したものの、最初は固辞したそうである。
―私は大店の旦那さま方ばかりがお集まりの会には、ふさわしくありません。

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