テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち

 たとえ見てくれる人がいなくても良いし、小紅があの菊たちに気づいたように、誰かが眼にとめてくれるかもしれない。大切なのは誰かに愛でられることではなく、自分がどれだけ一生懸命に自分の花を咲かせたかどうかだろう。
 出ていくなら、早い方が良かった。長くいればいるほど、大切な人との別れが辛くなる。お琴には明日の朝、近い中にここを出ると伝えようと思った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ