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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星

 その情景が見えない分、余計にあれこれと淫らなことを妄想してしまい、居たたまれない。
「あの―」
 小紅はもう一度、更に大きな咳払いをした。良い加減に気づきなさいよね。心で悪態をつきまくり、更に咳払い。
 それでもなお見事なまでに無視され、漸く眼の前の腰高障子が開いたのは五度目の咳払いをした直後だった。

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