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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星

 やはり、ここは、はっきりと言ってやらねば。小紅は覚悟を決めて、ひと息に言った。
「私が栄佐さんをお訪ねしたのは引っ越しのご挨拶ともう一つ、まだお天道さまも高い中から、女の人と淫らな行いに耽るのを止めて頂きたいからです。ここは狭い長屋ですよ? 壁は薄いし、人の声は丸聞こえです。いつ、どこで何をしようが、栄佐さんの自由だとは思いますが、そういうことをやるのなら、ここではなく、出合い茶屋かどこかでして下さい」

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