一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星
栄佐はどうやら小紅の髪を撫でるのが好きなようで、何かあれば、すぐに髪をくしゃくしゃとかき回す。その様子からは男女の性的な匂いはなく、むしろ兄が妹を構うような親密な雰囲気だ。
それでも、小紅は彼が手を伸ばしてくる度に、一瞬、身構えてしまう。こんな有様で人並みの結婚ができるとは思えない。
お彩は小紅の仕立てた着物を丁寧に検分し、その場で不相応とも思えるほどの仕立賃をくれた。そして、これからも京屋の仕事を任せても良いと約束してくれたのだ。
それでも、小紅は彼が手を伸ばしてくる度に、一瞬、身構えてしまう。こんな有様で人並みの結婚ができるとは思えない。
お彩は小紅の仕立てた着物を丁寧に検分し、その場で不相応とも思えるほどの仕立賃をくれた。そして、これからも京屋の仕事を任せても良いと約束してくれたのだ。