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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 本当は小紅は準平と来たくはなかったのだ。でも、有無を言わせぬ強い力で引きずられて、付いて行かざるを得なかった。準平は半年ほど遅い生まれだが、二人は同じ年である。もう十歳になっていれば、男女の力の差は歴然としている。しかも小柄な小紅に比べて、準平は大柄だ。
 何を思ったのか、小紅を物置に連れ込んだ準平はさび付いた鍵を内側からかけた。

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