テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星

 栄佐が懐から取り出した縦長の財布を差し出す。逆さにして振ると、透き通った玉を幾つも連ねた数珠が出てきた。碧く透明な玉は貴石なのかもしれない。光にかざしてみると、深い海の底を流れる水のように煌めいた。
「これからはお守り代わりに持ってろ」
 栄佐はその蒼色の石を連ねた数珠を小紅の小さな手に握らせた。
「必ずお前の身を守ってくれるはずだ」
「でも、きっと高いんでしょう?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ