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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日

 京屋から目抜き通りを通れば良かったのだが、近道をしたのもまずかった。ここまでの道は昼間でもあまり人影のない小道だ。
 あまりの用意周到さに、小紅は腹が立つよりも空恐ろしくなった。まさか京屋を出たときからずっと付けられていた?
 栄佐の言ったとおりだった。もっと慎重に行動すべきだったのだ。栄佐が言ったではないか。けして一人で外に出てはいけないと。
 しかし、まさか準平が本当にここまでするとは思わなかったのは確かだ。

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