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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日

「へえ、ご丁寧に俺の身許まで調べたのかい。確かに俺はうだつの上がらねえ大根だがな。それでも、貴様のような人でなしよりは、ちったア、マシだと思ってるぜ」
 栄佐は藍色の着流し姿だ。その姿に眼をとめた小紅はハッとした。栄佐の腰にあるのは刀だ!
 町人が刀を使うとは考えられない。しかし、栄佐は腰に佩いている刀をあっさりと抜いた。

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