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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日

 早春の陽光に、抜き身の刃がキラリと光った。やはり真剣は迫力が違う。準平の取り澄ました表情が一瞬、引きつった。
「大根役者の刀は大根しか切れねえ、なまくらかどうか、ちょいとお前さんで試してみようかねぇ」
 栄佐らしい人を食ったような物言いに、準平が一瞬、ギョッとした表情になるのがよく判った。

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