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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日

 ―愛してる。俺と一緒になっちゃくれねえか―
 囁き声で伝えられた言葉に、小紅は固まった。
「―こんな私で良いの?」
 小紅はわずかな躊躇いをかなぐり棄てた。やはり、栄佐に嫌われたとしても、伝えなければならないことは伝えなければ。
「あのね、私」
 言いかけて言葉が途中でつかえてしまう。それでも、小さく息を吸い込んで続けた。

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