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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日

「幸せだから。生まれてから今まで生きてきて、いちばん幸せだと思ったから、泣けてきたの。栄佐さん、私はきっと、あなたに話さなければならないことがたくさんあると思うの」
 栄佐が頷いた。
「それを言えば、俺だって同じだ。まだ、お前には話していないことはある。だが、小紅。俺はお前が自分から話そうと思うまでは無理に訊き出そうとは思わない。お前が話したいと思った時、話してくれれば良いんだ」

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