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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第5章 【残り菊~小紅と碧天~】 いちばん幸せな日

 栄佐がその縁の相手なのかはまだ判らない。けれど、叔父と自分はそうではなかった。
「小紅、泣いてるのか?」
 栄佐が気遣わしげに声をかけてくる。小紅は無理に笑顔を作った。
「俺、もしかして、強引すぎたか? お前の気持ちも確かめなかったから、それで」
 どうやら性急に求婚(プロポーズ)したので泣かせてしまったと栄佐は誤解しているようだ。 
 小紅はううんと首を振る。

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