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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間

 運命が動き出す瞬間

 暦が弥生に変わった。その日、江戸両国広小路では中村座・市村座・森田座、いわゆる三座でそれぞれ春の顔見世大興行が行われた。他のあまたの芝居小屋でも、倣うかのように春の顔見世と銘打っての興行の幕が開く。
 碧天の所属する安田座は幕府の認可を受けた三座ではなく、広小路にはそうした三座以外の芝居小屋もたくさんあった。

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