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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 小紅の記憶にある準平は背丈も大きかったが、その分、横幅も大きかった。母親に溺愛されて菓子ばかり与えられているせいか、醜く太った子どもだったのに、数年の歳月は少なくとも準平の外見だけは良い方へと変えていた。
 長身にすっとした身体、どこか幼い頃の面影は残してはいるけれど、それなりに整った面立ちは若い娘にはモテそうである。

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