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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第8章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 すれ違い

「何か食べないの?」
「いいえ、大丈夫です」
 小紅は控えめだけれど、きっぱりと応えた。お茶代は自分の分は自分で払うつもりだ。そんな贅沢はできない。と、何を思ったのか、市兵衛は饅頭を追加した。心得た老婆が下がっていく。

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