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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第8章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 すれ違い

「行こうぜ」
 長身の男が促し、二人は歩き出した。栄佐は振り返り、その二人を呼び止めた。
「ちょいと」
 ヒィともつかぬ悲鳴を上げたのはもちろん小男の方である。
「何だい、まだ言いてぇことがあるのかい」
 長身の男が警戒心も露わに言うのに、栄佐はニヤリと口の端を引き上げる。

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