テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬

 と、お彩がころころと笑った。初めて見た頃よりは幾分肉がついて、ふっくらとしてきたように見えるが、お彩の天与の美貌を損なうほどではない。かえって大内儀らしい貫禄が更に備わったともいえた。
 お彩のふくよかな面から、ふっと笑みがかき消えた。小紅はますます警戒し、お彩を見つめ返す。
 やがて、お彩が小さな息を洩らした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ