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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬

 しかし、小紅は今度は口をつぐんだ。昨夜の栄佐とのなりゆきをいかにしても市兵衛に話せるものではないし、また、小紅自身も話す気はなかった。が、流石に大商人(おおあきんど)と畏怖される父親の血を引くだけはある男だ。小紅の顔色から彼はすべてを察してしまったらしい。
「まさか、本当なのか? 本当にお前は誰か別のヤツに陵辱されたっていうのか? 相手は誰だっ」

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