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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬

 小紅は唇を噛んで押し黙った。
 市兵衛は小紅のか細い両肩を掴み、揺すった。
「話してくれ、小紅」
「―」
 なおも頑なに口を閉ざす小紅に市兵衛はすべての応えを読み取ったようだ。
「あの男なのか? お前が惚れてるっていう―」

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