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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 その女と子どもの哀れな末路ももちろん気にはなったけれど、今のお琴の言葉はそんな感傷など吹き飛ばすには十分であった。
「旦那さまはお身体が悪いの?」
 お琴はそのときだけは表情を翳らせた。

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