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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第10章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 心の嵐

 それが小紅に対して取り返しのつかない罪を犯してしまった自分にできる精一杯の償いであると思うからだ。
 とりあえずは明日、小紅に謝ろう。明日の朝一でいよいよ秋の顔見世興行の配役発表がある。役者生活七年、悲願叶って初の立て役となれるか、はたまた、大部屋生活八年目に突入するか。
 どちらに転んでも、栄佐はその後で小紅に頭を下げるつもりだ。誠心誠意謝る、これしかない。

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