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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第10章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 心の嵐

 栄佐は固く眼を瞑ると、とにかく今は眠ろうと考えた。何をするにも体力は必要だ。どうも配役発表を控えての緊張のせいか、腹は空かない。
 ―そうは思ったものの、眠りはなかなか訪れず、栄佐がやっとうとうとと浅い微睡みに落ちたのは更にそれから一刻以上も後のことだった。

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