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ソウル・雨─AtoZ.

第5章 真夏の泡色。。。

 …「お前が、嫌だ─なんて」急に、戸惑い声になり、睫毛をしばたたかせた。「じゃあ、良いんですね─」答える代わりに、ユノはチャンミンの肩に額を押しつける…「顔、見たい」ため息を吐き身体を、しならせる。 小さな、両手で包み込めそうな顔。短い髪は濡れて、少し上気した頬がユノを無垢な少年に見せた。─喉元を、汗が零れる涙のように一筋流れていく。その流れていく跡を眺めながら「何か…云ってよユノ─」仔猫を思わせる色合いの舌が躊躇いがちに、唇を舐め「ア、泡…の付いた手で、─気持ちいい…よ」「─触られるのがですか」何度も小刻みに頷く。「そう─可愛い…」呟くと、揺れる動きを、手に加えた。─睫毛を震えさせ伏せながら自分の両手で、チャンミンの手をくるみ込んだ。駆り立てられ、火傷しそうに燃える自身にのめり込み、顔のすぐ側のチャンミンの熱い視線を忘れるユノ。…ゆったり揺れ動く温かな霧の立ち込めているような浴室で、ふたりはまるで水遊びする子供同士にも見えた─。時折、びくりと震えるユノの肩に、柔らかくチャンミンの唇が、触れる。「そうしてると素直ですね…」穏やかな声だが、切なげに体を揺り動かすユノを見つめる瞳は、冷たかった。

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