ソウル・雨─AtoZ.
第5章 真夏の泡色。。。
…チャンミンは両手に、バスタブの湯より温かく滑らかな、さざ波を感じる─ユノは、バスタブの縁に、頭をもたせかけている。愛らしい水玉を、幾つも載せた肩に指先を触れるとユノは眉をひそめる。「…ユノ?…」黙りこくり、無反応だった。─水玉の一粒が、温かな湯の表面に、静かに転がり落ちた。…ゆっくり立ち上がるチャンミン。浴室の中は、深い森の中に似た空気が、立ち込める。「用済んだから出ていけ─ですか」横目でチャンミンを見上げる。 南の島のまだらの模様の大蛇…太樹の根元で獲物を狙って、動かない─巨蛇の目。…チャンミンの唇に、朗らかな色が浮かぶ。バスタブから出ようとする肩を、優しい母親を思わす手つきで、柔らかく、押さえた。「何─?」面倒そうな声に応えず、身体の表面を、滑らせ、撫でる。…まるで赤ん坊に湯浴びをさせる丁寧な手…「チャンミン─」不快感を露にするユノにかまわず、手のひらで身体を撫で洗う。
「あ─ッ…!」両手を湯の中から引き抜いた。「─ごめん」チャンミンの手首に、丸い痣がついている。「強く、握っちゃって。痛かったよね」 黙りこんで痣を見つめるチャンミン。上半身を湯から乗り出し、チャンミンの手を取るユノは震え声…。
「あ─ッ…!」両手を湯の中から引き抜いた。「─ごめん」チャンミンの手首に、丸い痣がついている。「強く、握っちゃって。痛かったよね」 黙りこんで痣を見つめるチャンミン。上半身を湯から乗り出し、チャンミンの手を取るユノは震え声…。