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ソウル・雨─AtoZ.

第6章 雨を聴きながら…

 たまりかねたらしいユノが「はっきり、─チャンミン云ってくれ。何の事だ…」珍しく、声を荒げた。「もうユノが僕のほうを向いてないってこと…」答える声は落ち着いている。それがユノには、何故か気に触ったようだ。「だから…! 云いたい放題さっきから」「やっぱり、忘れてる…ユノらしいよ」「だったらそれでいいじゃないか」 開き直る調子が、あった…。「それじゃ僕が何云おうと─それでいいじゃない…」ユノの不機嫌を楽しむ口ぶり。「…それで? ─」鼻先で、チャンミンがせせら笑う。
 「復帰…失敗したらふたりで消えちゃおう…何処かへ─。事務所もそのつもりだろうからって…」「成功したんだから…もう─」「成功?」あきらかにチャンミンの言葉に嘲る響きがあった。 「お金稼げて─それが、ユノの成功なの」「応援してくれるファンだって─」「甘いよ、ユノは」ピシャリとはね除ける。
「ファン? …人の気持ち、怖いほど変わる…」天井にチャンミンが大きく息を、吐き出す─。「俺がお前を見てないって…どうして」「お前の…僕の云うとうりにって言って、…そうしてくれないから」「─お前が、…分からない…」 
 ─……熱い、吐息がユノの耳に、不意に届く─。

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