無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　…ふたりを柔らかく、つつむような優しい雨が窓の外で降り始める─。「ユノ」唇を辛そうに噛む顔に、視線を当てて「僕も─変な期待を、ユノに、持ってたんだ…」小さい、息を吐いた─。「僕から離れて行く─その時、誤魔化さないでキッチリ別れを云ってくれる…それが─僕のユノだってね…」唇に、薔薇の夢のような色が浮かんだ。「─我儘な、…身勝手な言い草だってわかってる。─チャンミンでも…」途切れた言葉が、辺りに散っているかのように、ことばを、探す。穏やかな瞳が、そんなユノに向けられる。「…チャンミンお前を、─失いたくない」「─ユノ」唇は柔らかく、微笑む。
「そう…。だけど、ふたりきりで僕だけ見ていて欲しかった」雨のような優しい言葉が、ユノを突き放す。「良いんだ。もう…」少し、笑った─。
　「僕、ユノに感謝してる」黒曜石の目は、ゆっくり、閉じられた。「ユノは僕の夢…」横顔が暁の光のように鮮やかに映える。「お前が必要だって云ってくれる唯一のひとだったもの」「─今だって、そうだ…」消え入りそうな、か細い声。チャンミンは、ゆるやかにかぶりを振った。
「ユノがいなかったら僕、ここにいない」