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ソウル・雨─AtoZ.

第2章 烟~

 ─キチネットの入り口でチャンミンが煙草を吸いながら、ユノを眺めている。
 シャワーで生乾きの髪をうるさそうに、掻き上げた。「…こっち来れば」 その声を無視して、ドアに凭れ、黙って煙を吐いた。「俺食べ終わったから、ここで吸えよ」
 …長い脚をゆっくり組みかえながら「待ってるんです」「何を…?」近くのキャビネットから透明な灰皿を出し、煙草をもみ消した。
 両腕を組み、唇に皮肉っぽい笑みを浮かべる。
 …均整のとれた体つきが、大人の落ち着きさえ感じさせる。薄手のシャツが皮膚に貼りつくようだった。
 …顔立ちにも、余裕の表情が見られ、秀麗さを増していた。
 ─スマホが鳴った。妙に軽快なメロディーが、その場の空気を一気に白けさせる。
 スマホを手にしてユノは話し始める。
 無感動な目でチャンミンがその姿を見ている。 …ユノの口調が次第に早まった。(─え?…どうしても─、あぁ。わかった。─行くよ大雨だって…)気づくとテーブルを挟んですぐ目の前にチャンミンがいた。
 ユノを見下ろしながらまた新しい煙草に火を点ける。

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