
カード×ロワイヤル-異世界転生への奇妙な旅-
第3章 第3話 恋人-ラヴァーズ-と戦車-チャリオッツ-
「泣いているのかい?フィオ…」
「…泣いてなんかない…泣いてなんかいないもん…」
泣きじゃくりそうな彼女に優しく声を掛ける僕だがフィオは強がるばかりだ…
「フィオ…僕は君の事を全然可哀想とかそんな同情な目で見てないよ。」
「嘘よ…」
「嘘なんかじゃないさ。」
「じゃあ…何で…ダリオは…こんな生きる時間の少ない…私に…会いに来るの?」
フィオは言葉を震わせながら僕に聞いてくる。僕の答えは最初から決まっていたけどね…
「フィオ。僕はフィオと言う1人の女の子にただ会いたくて僕に時間があるときはフィオに会っているんだよ?」
「ど…どうして…?」
僕はフィオに抱き締める力を強めて、そっと耳元で囁く様に答える…
「それはね…フィオ・アッシュという君の全てに僕は心を奪われたからだよ…」
「ダリオ…私…嬉しいのに…凄く嬉しい事なのに…私じゃあ…ダリオの気持ちに答えられない!だって…だって!」
「そんなに僕の事は1人の男として見れないのかい…?」
「違うの!違うのっ!!……私じゃあ…私じゃあ!ダリオのお嫁さんにはなれないの!私も…私もダリオの事が…うわぁぁぁあああッ!!」
今まで僕に見向きもしようとしなかったフィオが振り向いて僕に強く…締め付けられるくらいに…彼女は僕に抱き着く…
「私…もう…3年が限界なの…私は!優しくて…暖かくて…頑張る姿の大好きで大好きで…ダリオの事を考えると胸を締め付けられるくらい…に苦しくなっちゃうダリオと一生会えなくなっちゃうのがッ!」
「フィオ…」
「どうして…どうして私は病気なの…?嫌…だよ…」
フィオの身体は病気によって蝕まれてあと3年も生きられないらしい…その立ち直れないほどのショックで自暴自棄に…
「フィオ…」
「ダリオ…」
僕とフィオはお互いに見つめ合い、僕はフィオから流れ落ちる涙を指でそっと拭き取る。
