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恋してキスして抱きしめて

第9章 あの、立場逆転してませんか?

「……来てくれて、ありがとう」

「………!」

「嬉しいです、すごく……
本当に、逢いたかったんです」



街路灯の灯りがうっすらとガレージの前まで届いて、千夏の頬を照らす。


子供じゃないと千夏が訴えたように、その顔は凛とした女の表情をしていて


……1週間見ないだけで、ここまで変わったのはなぜ?


それとも、俺がそう見えるだけ?



「……花火マジック……」

「……え?」

「あたし……
流されたり、一時の錯覚じゃないと思うんです」



は? なんの話?


記憶を呼び寄せてる間に、もう片方の手がゆっくりと上がって


千夏の両手が、遠慮がちに俺の両手を包み込む。



「だって、あの日から1週間経っても……
毎日ユーリさんのことばかり考えちゃうんです」

「………!」

「胸がきゅうっとして、痛くて、ちょっと苦しくて……
これってつまり……」

「ま、待て待て!」



っておい!

俺なんで今止めたの!?

反射的に俺から話遮っちゃったよ!


つーかまだ来たばかりなのに、いきなり!?

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