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恋してキスして抱きしめて

第10章 ゆっくり進もうって、俺言ったよね!?

「最近、携帯鳴りませんね」



千夏の誕生日が2日後に迫った、木曜の夜7時。


喫煙所からデスクに戻ると、パソコンの電源を落とした舞ちゃんが話しかけてきた。



「いつも週末が近付くと、ひっきりなしに振動してたのに」

「……切ったんだよ、全部」

「切った?」

「俺自身が拍子抜けするほど、簡単にね」



………最後に電話した女、まだ泣いてるんだろうな。


この前会った時、仕事のノルマがきつくて毎日辛いって言ってたのを思い出す。


俺に愚痴ることで解消するって笑ってたから、もう少し話聞いてやりゃ良かったかも……


って、俺から終わらせたのに何言ってんだ。



「もう会わないって言ったら、全員あっさり承諾しやがった」



嫌っ!あたしだけを見て!とか


2番目でもいいから続けて!とかを期待してたのにさ~


俺ってその程度だったのかよ~って思うとちょっと悲しいよね~~

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