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恋してキスして抱きしめて

第10章 ゆっくり進もうって、俺言ったよね!?

「舞、なんとなく分かります」



デスクの上を片付けながら、舞ちゃんがふうっと溜息を漏らす。



「分かるって何が?」

「ユーリさんと関わる女性達の気持ちです」

「え?」

「ユーリさんって真面目で誠実なのに
ワザとチャラチャラしてるじゃないですか~」

「………!」

「みんなの相談窓口になっちゃうくらい優しいのに
口調が軽いだけで、結局は真面目で誠実じゃないですか~」



~~さ、さらっと言われたーー!


順番変えただけで、結局同じこと2回強調して言われたーー!!


周りの同僚達が笑いを堪える中、俺はゆっくりと舞ちゃんの方に体を向ける。



「……舞ちゃん?
なんか俺、今すげーダサイ男にされたよね?」

「そんなことないです。
ユーリさんはカッコイイです」



マスカラとアイラインで盛られたデカイ目で、舞ちゃんはじっと俺を見つめる。



「今でも充分素敵ですけど
本当のユーリさんは、一途で純粋な心を持つ人なんですよね」


「…………!!」


「過去に何があったのか分からないけど……
なんだか、舞はとても切ないです」

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