テキストサイズ

恋してキスして抱きしめて

第10章 ゆっくり進もうって、俺言ったよね!?

「…………」



……いつもみたいに、笑って茶化せないのは


そう言った千夏の声が、別人みたいに落ち着いているからだ。



「……どしたの、ちーちゃん。
今夜って、本気?」

『はい、迷惑じゃなければ……
ユーリさんの仕事が終わるまで待ってます』

「それは別にいいけど。
俺、会社出れるの9時過ぎるから、メシは……」

『ご飯じゃ、ないんです』



驚く程キッパリと、そしてどこか色気を漂わすような声で


千夏は言い放った。



『……もう一度、してほしいんです』


「………!」


『誕生日に、逢えなくてもいいの。

……だけどあたし、来週までなんて

とてもじゃないけど、我慢できそうにありません』



ドクッと心臓が鳴る。


………この子、どの辺でスイッチ入ったんだ?


俺は鈍感でも童貞でもねぇから


ここまで言われたら、相手が何を言いたいかは分かったも同然。


だけど


この女は一度も恋愛をしたことが無い、初心者だろ……?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ