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恋してキスして抱きしめて

第17章 積乱雲と、スコール

「……ほんと、まだまだ暑いなぁ……」



食材の入った袋を持ち直して、ユーリさんのマンションまで足を進める。


8月最後の日、今日は熱中注意報が出てた。


残暑厳しい夏の日差しが、ジリジリとアスファルトを照らしている。



「…………?」



ユーリさんのマンションがある、曲がり角を曲がった時


石畳で出来たアプローチの手前で


白い何かがゆらゆらと揺れているのが目に映った。



………ゆらゆらと、蜃気楼のようで



強い日射で地面が熱せられ、上昇気流が起きる現象。


それが陽炎によるゆらめきだということに気付くまで、少し時間がかかった。



「…………っ」



麦わら帽子


白いワンピース


微動だにせずに、マンションを見つめるその姿………



……あの人は……

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