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恋してキスして抱きしめて

第17章 積乱雲と、スコール

「……朱莉さん……」



………麦わら帽子を取って、綺麗な瞳があたしを見たから


心の中で呟いたつもりだったのに、声に出てしまっていたことに気付いた。



「…………?」



肩に届かないくらいの、サラサラの短いストレートヘア


その揺れる髪の間から、パールのピアスがさりげなく光っている。


………若干ハタチになったあたしには無い、上品な大人の女性。



「……私のこと知ってるの……?」



………やっぱり、この人が朱莉さんなんだ。


透き通った、綺麗な声。


なにもかも……なにもかもが綺麗。


ドクドク、体の中から不穏な音がする。



「あ、あたしは………」



“ どうしてここにいるんですか? ”


“ あたしは、彼女です ”


“ ユーリさんの、彼女です "



「…………っ」

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