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恋してキスして抱きしめて

第17章 積乱雲と、スコール

「……え……?」



……似てる……?


そんなこと、今まで誰にも言われたことがない。


それに


驚いて、声が出なくなってしまったのは


……それだけじゃない。



「夏輝君と、瞳の色が同じなのね。
深くて、美しくて、キラキラしてて」

「…………」

「こんなに可愛い妹さんがいたのね。
……夏輝君、元気にしてるかしら?」



……褒めてくれているのは、分かってるけど


あたしはもう、麦わら帽子を持った左手の薬指にしか意識がいかない。


微笑む朱莉さんは、帽子以外何も持っていなくて


………それに


あたしはもうひとつ気付いた。



「…………」



シンプルな銀色の指輪から、視線を下に向ける。


ここはマンションの前の細い小道で


真夏の太陽がジリジリとアスファルトを熱していて







朱莉さんは






裸足だった



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