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恋してキスして抱きしめて

第17章 積乱雲と、スコール

「…………っ」

「……えっと、千夏ちゃん?」

「……あ、あ……っ」

「どうしたの?」



どうしてユーリさんのマンションの前に1人でいるのかも


なぜ左手に結婚指輪をしているのかも


なぜ、何も手に持っていないのかも


疑問は沢山あるのに、あたしの頭から一瞬で吹き飛んでしまった。



「あ、足が………っ」

「え?」

「朱莉さん……っ」



全体的に白い肌の、その一部分だけ


足の甲に届く位置まで、真っ赤に膨れ上がった炎症


おそらく長時間、灼熱の地面に足を付けていた為に起きた火傷だ。


どうしよう、どうすればいいの……!?



「…………っ」



あたしは半ば、パニック状態で


朱莉さんの前でしゃがむと、バッグの中からペットボトルの水を取り出す。


正しい応急処置が、これでいいかは分からないけど


蓋を取って、勢いよくその両足に水をかけ続けた。

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