恋してキスして抱きしめて
第17章 積乱雲と、スコール
「……そっか、千夏ちゃん……
今は、そうなんだね……」
「…………!」
「ふふっ……偶然って、すごいね……」
朱莉さんは、あたし達のことをそれ以上何も聞かなかったけど
あたしを見てニッコリ笑った後、ユーリさんに視線を戻した。
「もう、絶対に来たりしないわ。
……迷惑かけて、ごめんなさい」
「…………」
「明日、東京を出るの。
外と遮断された施設だから、逢うのはこれで最後よ」
「…………!!」
「だから、安心してね」
……ドクッと心臓が鳴る。
ユーリさんも、きっと驚いていると思うけど
あたしは、その言葉を聞いて思わず一歩前に出た。
「あ、朱莉さ………!」
ドクン、ドクンと動悸がする。
血が沸騰したように、全身が熱くなる。