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恋してキスして抱きしめて

第17章 積乱雲と、スコール

「……ごめんね、千夏ちゃん」



あたしの手に、左手をそっと添えて


朱莉さんは微笑んだ。



「千夏ちゃんからしたら、私は会いたくない存在なのに。
優しくしてくれて、ありがとう」

「…………っ」

「こんなこと、言われたくないと思うけど
ユーリが貴方を好きになる理由が分かるわ……」



……ユーリさんの彼女だった人


2人の姿を見た日は、きっと嫉妬の気持ちでいっぱいだったのに


お互いに初対面で、お話するのも初めてなのに……


朱莉さんはそう言うけど、あたしはどうしてかちっとも嫌な気がしない。



「ユーリと、幸せになってね」



あたしの手をゆっくり腕から外すと


朱莉さんは一歩後ろに下がった。



「……朱莉さ……」

「千夏ちゃんに逢えてよかったわ」




そう言ってもう一度微笑んで


私達から離れようとした………


次の瞬間




「…………!!」





ドサッと大きな音を立てて




朱莉さんは




崩れるように道路に倒れ込んだ。


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